仕掛け図ってなに?
遠矢ウキを使うときに、どのような仕掛けが良いのでしょうか。そもそも仕掛けってなんでしょう。
仕掛け図は雑誌などで見たことがあるんですが、意味が分からなくて、ちんぷんかんぷんで…。
「仕掛け」というのは、どのようにウキや針をセットするかという説明のことで、それを図に描いたものが「仕掛け図」と呼ばれているんだよ。初めての人は理解するのが難しいかもしれないけど、
見方がわかれば、意外と簡単なんだよ。
そうなんですか!ぜひ教えてください!よろしくお願いします!
<まとめ>仕掛け図とは、釣りの道具・小物の配置やセッティングを解説した図のことである。針やウキのセット方法、小物のセッティングなど細かい情報が入っている。専門用語が多く、初心者には難しいが、コツを覚えて読み方をマスターできるようにしましょう。
仕掛け図を見てみよう
仕掛けの意味がわかったところで、さっそく仕掛け図を見てみましょう。基本的な仕掛け図はこんな感じです。例えば、180sの場合です。遠矢ウキを使った仕掛けは概ね同じです。ウキの残浮力によって調整用鉛(ガン玉)が変わるぐらいです。
う…知らない専門用語が多くて…よくわかりません…。(汗)
大丈夫、大丈夫。最初は誰でもわからないことだらけだからね。じゃあ、わかるところはある?
ハリスとヨリモドシ
針はわかります。その上の、ハリスってなんですか?
「ハリス」は魚に見破られないようにするための透明の樹脂性の糸で、昔はナイロンが主流だったけど、現在はフロロカーボンがおすすめだ。遠矢流釣法では長さは約2m、太さは1.5号が基本だね。
なるほど。魚に警戒されないようにするためのものなんですね。その上に、ついているヨリモドシって何ですか?
ほら、よくカップルが「よりを戻す」って言うだろう?あれと同じ意味を持つ金具で、糸がねじれて「ヨリ(巻きグセ)」が入らないように、「ヨリモドシ」をすとされているけど、実際は…。それはまた解説するとして、クルクルと360度回転する環が上下についているんだよ。「サルカン」「タルカン」と呼ぶ場合もある。
遠矢釣法では、サイズは10号を推奨しているよ。理由は、上下の糸を連結するのに、色々なサイズで試したけれど、10号が最も硬く締めることができた。これは、大型の魚を取り込むのに重要だよ。だって、せっかく釣った魚が連結金具の場所でプツンと切られたくないだろう?(笑)
え〜!それは嫌です〜!大物を釣りたいから遠矢ウキを選んだのに、糸がプツンだなんて〜!(涙)
そうそう。だから、小さな金具1つ選ぶにしても、遠矢釣法には意味があるんだ。それも45年以上年間250日もの釣行を経験してのことだからね。
恐れ入りました!さすがです。
<まとめ>ハリスは魚に見破られないようにするため基本的には透明のラインです。ナイロンまたはフロロカーボンが主流です。太さは1.5号が推奨。PEラインをハリスがわりに使うのが流行っていますが、遠矢釣法ではおすすめしません。カットなどの処理が大変であることと、水に浮きやすくタナが取りにくいためです。特に初心者はやめた方が良いでしょう。ハリスと道糸を連結する金具はヨリモドシ10号が推奨です。
ガン玉調整のこと・名称について
ところで、ヨリモドシの上にあるガン玉って、これは何ですか?
ガン玉は、遠矢ウキの調整用につけるオモリのことだよ。パックマンみたいな形をしていて、丸いオモリの真ん中に切れ目があるんだ。この切れ目に道糸を通して、歯で噛み潰して道糸を押さえて動かないようにするんだ。昔は穴だけ開いている錘が主流だったけど、そのうち、切り込みが入って歯で噛み潰すタイプの「カミツブシ」型のオモリが主流になった。
そもそも、ガン玉は名前の由来は、散弾銃の玉から来ているんだ。だから「ガン=銃、の玉」ってわけだ。今はそんな由来を知っている人も少なくなったね….。(ため息)
そうなんですか!銃の玉が名前の由来になっているとは知りませんでした。
そうなんだよ。面白いでしょ。他にも釣り用のオモリは他にも筒型、などもあるけど、遠矢釣法ではガン玉推奨だ。なぜなら、ウキの浮力を微調整したいときに筒型では、仕掛けを一度切らなければならないのが面倒だからなんだ。ガン玉は4Bを基本に、あとはB、2Bがあれば良いと考えている…。
ちょっと、待ってください。4BとかBとかって何ですか!?
オモリの種類と考えていい。ガン玉はBとGとか号という種類がある。これも鉄砲の弾から来た専門用語だから話せば長いけど、とりあえず遠矢釣法では、主に4B、B(または2B)があれば大体はOK。あとはG5、G7が補助的にあればいい。釣具屋さんで「4Bのかみつぶし型のガン玉ください」で通じるから。
180s-小ならおよそ5B程度だから….4Bが2個ぐらい。それでトップの下側の緑の半分ぐらいに設定すればいい。
<ガン玉のまとめ1>ガン玉は散弾銃の玉がその名の由来。それぞれ大きさによって「B」表記、「G」表記がある。
ガン玉調整のこと・残浮力について
はい、わかりました。ところで、遠矢ウキで5Bって書いてたら、5Bのガン玉という意味ですか?
間違いではないが、遠矢ウキの場合は、残浮力を示すんだ。だから5Bの調整オモリで水面ピッタリに合わせてあるよという意味。それをゼロ点*という。これはメーカーによってバラバラであることが多いが、遠矢ウキではゼロ点を明確に定めている。でないと、使いにくいでしょう?どこまでウキが沈むのかわからないと…。
*ゼロ点とは喫水線を示す点のこと。
そうですね。各メーカーで基準ばバラバラなんて…(汗)。
続きを説明すると、例えば5Bと表記されていれば、基本的に5B分のガン玉をつければいいんだが、あとは自分がアタリを見るためにトップの位置を微調整するんだ。それが仕掛け図に書かれているB1個の役目というわけだ。5Bだったら、ガン玉4Bを2個で緑がチラチラ見え隠れする程度がちょうどいいと思う。そこに、オキアミがのれば緑が隠れる位置になり、アタリはイエローが隠れる程度で判断できる。
遠矢ウキのトップのほとんどは、一番下の色が緑だろう?そのあたりに調整するといいよ。
初心者にはちょっと難しい部分ですが、ここはマスターしないといけないところですね。
ガン玉の使い方は奥が深いからね。とりあえずは、遠矢ウキの3Bならガン玉4Bが1個。5Bなら4Bが2個、0.8号なら4Bが3個とB1個と覚えておいておこう。
ガン玉については他にも覚えて欲しいことがあるので、別のコーナーで詳しく解説するから、基本がわかればそちらも勉強してほしい。
<ガン玉まとめ2>ガン玉はウキごとに設定されている残浮力を目安に、2BやBで好みのトップ位置に調整するとアタリが見やすい。
ゴムカンのこと
ゴムカン2個は何の役割ですか?
それは、ウキが誘導されてヨリモドシまで行くと、絡んでしまうことがあるから、それがないように金具から離す小物だね。このゴムカンは元々「遠矢ゴムハカマ大」に爪楊枝をさして固定していたけれど、他社メーカーに真似されたんだ。今ではどの釣り人も使っている有名な小物だけどね。当時の古い雑誌を見ると、ゴム管に爪楊枝をさして使っているのは僕だけだったんだよ。
え〜!そうなんですか!!知らなかったです。
<まとめ>ゴムカンはゴムハカマ大を1個つけてそこに爪楊枝の先端部分を1cmほど切って固定するとできる。ゴムハカマ大を2個使って爪楊枝の両側に刺せば、有名な小物の形状になる。ウキが絡まないようにする小道具。ウキの長さ分だけヨリモドシから離しておくのがコツ。
ウキ止め糸のこと
さて、その上にあるのがウキ止め糸だよ。ウキがここから先には誘導されないのさ。最近、ウキ止めを使わない釣り方もあるが、遠矢釣法ではとても大事なんだよ。必ずウキ止め糸は2箇所つけるんだ。1ヶ所は水深を示し、もう1ヶ所は魚のタナを示すんだ。
あ!ウキ止め糸の意味だったんですね。今まで雑誌の仕掛け図を見て、何も解説のついていない「❌」表記はなんだろうと思っていました。
でもタナって…?
タナとは魚のいる層を示し、その日によって違うけど、黒鯛は大抵は海底にいることが多いから、ウキ止め糸は2箇所あるけど1ヶ所にまとめられていることが多い。もし、水深より浅いタナで魚の反応があったら、そこにリールに近い側のウキ止め糸を移動させるんだ。そうすることで、魚のいるタナに毎回、正確に餌を運ぶことができる。
その日のタナを探ることは、釣るための基本なのだが、最近疎かにする傾向が強くて困る。いい加減でも運がよければ釣れるが、釣れないことの方が多い。しっかり、タナを探りあてて爆釣したほうが楽しいよ。
なるほど、わかりましたがちょっと難しそうですね。
タナ取りは実は奥が深いんだ。これがマスターできるかどうかが上達の近道だけど、まずは初心者はしっかり水深を測って、海底ぴったりの位置で釣りを始めるといい。黒鯛は底を釣れ、という諺があるからね。
<まとめ>うき止め糸は遠矢釣法では2ヶ所。タナを探るためにウキ止め糸を移動することが多いから、緩んできたら再度引っ張って縛り直すために、長めにカットして使おう。推奨の太さは3号。
道糸のこと
それでは、道糸について教えてください。
道糸は、魚を取り込むためのラインで強度のあるものが使われているよ。基本的にはナイロン糸がおすすめだ。
お勧めはナイロン糸2号。それより太いと仕掛けが飛ばしにくい。
大物を釣りたい人は、どうしても道糸を太くしたがる傾向があるが、大事なのは糸の太さではなく、連結部の縛り方なんだ。ほとんどの場合、魚をバラす部分は連結部が切れること。
え!そうなんですか。道糸は太い方が切れないから良いかと思ってました。
連結部については、また結び方のところで解説するからね。
ところで最近、PEラインが流行っているが初心者にはお勧めしない。水に浮いて、タナがしっかり取れないからだ。また、ハサミでないと切れないため、釣り場で絡むと大変なことに。なかなかキレない糸だから苦労するよ。操作性も大事だからね。
わかりました。まずはナイロン糸で試してみます。
<まとめ>道糸はナイロン糸の2号がお勧め。太すぎる糸は操作性が悪く、仕掛けが飛ばしにくい。
まとめ
さて、ざっくりと説明したが大体わかったかな?
はい、なんとなくつかめました。あとは、実際に小道具を買い揃えて、仕掛け図と睨めっこしながら頑張ってみます。なんだかワクワクしてきました!
仕掛けを作る際に、必要なのは糸の結び方だね。今度は、それも学んでいこう。
ありがとうございました!フフフ、よし、釣りに行くぞ〜!
おっと!竿とリールと「遠矢ウキ」も忘れないように〜。
…あ〜、行っちゃった(笑)。
<まとめ>仕掛け図は、目的の魚を釣るための基本的な道具立てを紹介する図のことです。攻める海域や対象魚種によっても違ってきます。まずは、基本的な仕掛けの作り方をマスターして釣りを始めましょう。(終わり)
遠矢国利名人の仕掛け図・いま昔
それでは、おさらい。遠矢国利名人の仕掛けを見てみよう。下記の青い仕掛け図は40年ほど前の動画撮影時のもの。道糸が3号〜4号が現在は「道糸2号」とより細仕掛けになった。これは昔に比べてメーカーの道糸の強度が上がったことと、実釣で2号で十分という経験に基づくものである。
また、ウキ止め糸が昔は3箇所だったが、現在は2箇所である。これは、昔はウキ止め糸は玉状に結んでいたため、一度緩むともう一度作り直す必要があったためである。現在はウキ止め糸を結び目から長く切るようになり、後から締め直すことができるようになったので2箇所で十分という判断である。あとはハリスが約50cm長くなった。他にも、針のチモト(針のすぐ上のハリス部分)にガン玉が打ってあるが、これも潮の流れが早い場所や2枚潮などの時に使う程度で、現在は基本に使わない。ガン玉をこの部分に使うとアタリが遠くなるという理由である。ちなみに2枚潮などで使用する場合は、ガン玉はG推奨である。つまり、G7とかの極小である。
さて、ここでお気づきだろうか。流石に読者の皆様で40年前をご存知の方は少ないと思われるが、釣りのテクニックも時代とともに変化している。10年前、いや数年前でも良いが、現在流行の釣りのテクニックは数年前も同じだっただろうか。実際には、時代によってその釣法や使用するウキが変化し続けているのが現状である。釣りの世界にも流行り廃りがあるものだ。その点で、遠矢ウキ、そして遠矢釣法は時代を経てもほとんど変わらない。それはこれが普遍的な釣法だからであり、唯一「王道の釣法」と言えるのだ。それが今日までずっと変わらぬ人気を保っている理由ということなのである。(解説終わり)