”常識の逆行く”下ぶくれ”の元祖・遠矢うき
今では当たり前になった、あの”下膨れ”
いま、釣具店の棚には胴の下部がふっくらと膨らんだ「下膨れ形状」の棒ウキが数多く並ぶようになりました。今でこそ見慣れた光景ですが、この形が世に出た当初は、まさに**”常識の逆を行く”**ウキだったのです。
下膨れ形状の棒ウキが多く市場に出まわり、さまざまなウキが切磋琢磨して売り出されること――これは、下膨れの元祖である遠矢ウキにとって、とても喜ばしいことです。ただ、その一方で「では、この形は一体どこから生まれたのか」という源流だけは、ぜひ知っておいていただきたいと思っています。
遠矢国利、27歳の一本から
過去の膨大な釣り雑誌を紐解いてみても、「立ちウキ」の源流が遠矢ウキにあることは、歴史的に見て間違いありません。
その原型が生まれたのは、遠矢国利名人が27歳、昭和49年ごろのこと。遠矢ウキはこの頃すでに完成の域に達し、確かな釣果を出していました。**昭和50年(1975年)**には「あの人はよく釣る」という噂が広まり、その評判を聞きつけたスポーツニッポンが取材に訪れます。やがて「南房千倉の釣りを変えた奇跡のウキ」として大きく報じられると、遠矢ウキの名は一躍、世に知れ渡りました。
そして遠矢は、そこで歩みを止めませんでした。その後も次々と新しいアイデアを考案し、実用新案や意匠登録の申請を重ねながら、ウキを磨き続けてきたのです。
その存在は、**昭和56年(1981年)の『海釣りガイド』**にも「立ちウキの元祖 遠矢うき」として大きく紹介されています。

そして時代が下った読売新聞・平成8年(1996年)6月9日発行の特集では、こう紹介されました。
〜常識の逆行く”下ぶくれ”〜
いまでは遠矢うきは年間生産数十三万本という全国ブランドに。遠矢流という浮き釣り技法の名も生まれた。
「常識の逆行く」――この一言に、下膨れ形状が世に登場したときのインパクトが凝縮されています。当時としては型破りだったこの形は、やがて年間十三万本を生産する全国ブランドへと成長し、ついには**「遠矢流」という浮き釣り技法**の名前までも生み出しました。

「立ちウキの王様」として
そうです。下膨れ形状の棒ウキ――「立ちウキ」のパイオニアは、間違いなく遠矢ウキなのです。
色も形も本来は自由なはずのウキの世界で、なぜ「下膨れ」という一つの形がこれほど広まったのか。それは、この形が釣りの現場で確かな結果を出し続けてきたからにほかなりません。常識に逆らって生まれた一本のウキが、時代を越えて多くの釣り人に受け入れられ、いまや”当たり前”の形になりました。
その遠矢ウキに贈られた称号は――「立ちウキの王様」。名にふさわしいウキづくりを、これからも一本一本、心を込めて続けてまいります。
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