半世紀以上前から使われていた言葉ですが、現在もそのまま釣り場の共通語です。先人の言葉づかいを、現在の使われ方の補足とともにここに残しておきます。これがわかれば、あなたも釣り用語上級者です。
初出:『釣りの楽しみ方』(昭和39年刊)巻末付録「釣り用語集」をベースに再構成しました。「※加筆」の印がある項目は、原本には掲載されていなかった言葉を書き加えたものです。
あ行(ア・イ・ウ・オ)
アオル(あおる) サオの弾性を利用して竿を前後に動かすこと。これによって釣り糸を手前に寄せられる。合わせの動作にやや似ている。
アカシオ(赤潮) 海中の微生物が異常発生し、潮が濁って悪くなった状態。
アガル(上がる) あげ潮になる一時期をいう。
アゲ(上げ) あげ潮のこと。
アゲッパナ(上げっぱな) あげ潮になった一時期をいう。
アゴ ハリのかえしの部分。
アサッパ(浅場) 水深の浅いところ。アサバともいう。
アシ(足) 船の速度をいう。
アタリ(当たり) 魚がハリのエサを食うとき、サオを通して手に伝わる魚信。
アナ(穴) 魚が生息している場所。
アブレ 魚が釣れないこと。
アワセ(合わせ) アタリがあったときに魚を掛ける操作。
アワセギレ(合わせ切れ) 合わせが強すぎたときなどに糸が切れること。
アラグイ(荒食い) 産卵後などに体力回復のため食いが強くなること。「荒食いの季節がきた」というように使われる。
イツカ(一荷) 二本バリ仕掛けで同時に二匹の魚が掛かること。
イヅキ(居付き) 魚が一定の場所から遠くへ移動しない状態。イツキともいう。
イトフケ(糸ふけ) 風や潮流のためミチイトがたるむこと。
イシマ(石間) 海底に大小の石がたくさんある場所。
ウキシタ(ウキ下)※加筆 ウキ止め糸からハリ先までの長さをいう。タナと同様に使われることもある。
ウネリ 波長の長い波をいう。
ウワズル(浮わずる) 魚がタナからはなれて、高い泳層にいる状態。
オキヅリ(沖釣り) 船で沖へ出て釣る釣り方。
オキツリ(置き釣り) サオを磯に置いて釣る釣り方。
オキネ(沖根) 沖のほうにある水中の岩礁。
オクリコム(送り込む) 仕掛けと糸を前方に送り出すこと。
オサエコム(押さえ込む) 魚が糸を引き込むこと。
オマツリ(お祭り) 仕掛け同士がからみあうこと。
か行(カ・ク・ケ・コ)
カケアガリ(駆け上がり) 海底の深場から浅場へ向かう傾斜面。
カゼウラ(風裏)※加筆 風が当たらない場所のこと。
カタ(型) 魚の大小。釣れたことを「型を見た」ともいう。
カラアワセ(空合わせ) アタリがなくても合わせの動作をすること。
カカリ(掛かり) ハリが海底で引っ掛かる障害物。
カケダス(駆け出す) 魚がエサを食わえて逃げだすこと。
キキアワセ(聞き合わせ)※加筆 ゆっくり竿を起こしながら魚がかかっているかどうか確かめるアワセ。
クイ(食い) 魚がエサを食うこと。
クイコミ(食い込み) 食いの状態。「食い込みがよい・悪い」というように使う。
ケシコム(消し込む) 魚がウキを海中に引き込む状態。
ゲドウ(外道) 目的の魚以外の魚をいう。
コマセ 撒きエサや寄せエサのこと。
ゴボウヌキ(牛蒡抜き) 魚を海中から一気に抜き上げること。
さ行(サ・シ・ス・セ・ソ)
サオイッポン(竿一本)※加筆 竿一本分の長さをいう。およそ5m。例:「水深どのくらい?」「竿一本くらい」
サオシタ(竿下) 竿の長さの範囲の海面。
サオマケ(竿負け) 釣り人の体力以上のサオを使った場合の状態。
サキチョウシ(先調子) サオ先が柔らかく、しかも弾力性に富んでいるサオをいう。
サソイ(誘い) エサを動かして魚の食欲を誘うこと。
ササニゴリ 潮がうすく濁ること。
サラシバ(晒し場) 波がくだけて白く泡立っている場所。
サルカン ヨリモドシと同じ。
シオオモテ(潮表) 潮がぶつかってくる側。
シオサキ(潮先) 潮の流れる方向。
シオダルミ(潮だるみ) 満潮または干潮のとき、潮が動かなくなること。
シオマチ(潮待ち) 釣りによい潮具合になるのを待つこと。
シオウラ(潮裏) 潮のぶつかっている反対側。
シボリコム(しぼり込む) 魚が強く急速にサオ先を引き込むこと。
シメル(締める)※加筆 魚の血抜きや神経じめをすること。
スレ 魚の口以外の部分にハリが掛かること。
セ(瀬) 潮の流れの早い場所。または海底に岩礁のある場所。
ソコヅリ(底釣り) 海底にエサを付けて釣る釣り方。
ソトドウシ(外通し) 外側に糸を繰りだすガイドをつけてあるサオ。
た行(タ・チ・テ・ト)
タカバ(高場) 浅場に同じ。
タテル(立てる) 魚が掛かったときにサオの弾性を応用するためにサオを立てる動作。
タメル(矯める) 魚の強い引きに対してサオの弾性を利用して持ちこたえること。
タナ(棚) 魚のいる層。
タマ(玉網) 円型の手網。タモともいう。
チモト ハリの根元の太い部分。
チョウカ(釣果) 釣り上げた成果。
チョンガケ(ちょん掛け) エサのつけ方のひとつ。
テゴタエ(手応え) 手にアタリを感じること。
デキ 稚魚または当才魚。
デル(出る) 釣れること。
ドウ(胴) サオの中央部。
ドウチョウシ(胴調子) 中央部に調子のあるサオ。
トリコミ(取り込み) 掛けた魚を釣り上げる動作。
トメジマ(止島) 危険があるので釣りが禁じられている島。
な行(ナ・ニ・ヌ・ネ・ノ)
ナギ(凪) 無風で波のない状態。
ナギダオレ(凪だおれ) 凪でかえって釣れない状態。
ナグラ 暴風の余波やうねり。
ナブラ 魚の群れ。
ナカドウシ(中通し) ミチイトがサオの中を通って穂先へ行くように作られたサオ。
ニガシオ(苦潮) 海水の塩分が濃くなったりして釣りには向かない状態。
ニクブト(肉太) ハリの軸が太いこと。
ニシ(西) 西風または冬の季節風。
ヌキアゲ(抜き上げ)※加筆 釣れた魚を海中から岡へ一気に引き上げること。
ヌク(抜く) 魚を水中から引き上げること。
ヌケル(抜ける) 魚が水面に飛び出すこと。
ネ(根) 海底にある岩礁、または島や陸地の基部。
ネウキ(寝浮木) 水面に横たえ、アタリがあると立つウキ。
ネガシラ(根頭) 海中の岩礁のふちや上部のこと。
ネズレ(根ずれ) イトが海中の岩礁に触れていたむこと。
ノサレル 魚の引きがサオの弾性以上に強く、折られるかサオとミチイトが直線になってしまうこと。
ノジメ 釣った魚をすぐその場で締めること。
ノッコミ(乗っ込み) 産卵期に浅場へエサをあさりにくること。
は行(ハ・ヒ・フ・ヘ・ホ)
バカ サオの長さより長いミチイトの部分。
バカをくれる※加筆 糸のたるみをつくって掛かった魚を油断させる方法。
ハナ(鼻) 海岸で突きだした部分。
ハヤアワセ(早合わせ) 魚のアタリをウキでとらえた瞬間にアワセること。※昭和39年当時は「魚がエサを十分くわえていないうちにアワセて魚を逃がすこと」とされていた。
バラス 掛かった魚を逃がすこと。
ヒネ 三年以上の老成魚。
ヒトヒロ(一尋)※加筆 両手を広げた寸法、およそ160cmを指す。
フカス※加筆 糸を引っ張らずに自然に垂れさせること。
フカセ※加筆 エサや仕掛けをオモリで沈めず、ふわふわと自然に漂わせること。これが本来の語源で、フカセ釣りの名の由来。
フカセヅリ(ふかせ釣り) オモリをほとんど使用しないで釣る釣り技の一種。ウキを使わず、軽い仕掛けだけで沈める釣りを指す。現在は「ウキフカセ」の略称として使われることがあるが正確ではない。ウキを使う場合は「ウキフカセ」という。
フカンド(深んど) 深場。
フケル イトフケと同じ。
フラシ 網製のビクをいう。
ヘチ 磯のふちの部分。
ポイント 魚の集まるところ。
ホサキ(穂先) サオの先の部分。棒ウキのトップを指す場合もある。
ま行〜(マ・ミ・メ・モ・ヤ・ヨ)
マキエ(撒き餌) 魚を寄せるためのもので、コマセともいう。
ミヅリ(見釣り) 澄んだ水中で魚がエサを食うのを見ながら釣る釣り方。
ミャクヅリ(脈釣り) 釣り技の一種。
メイカン(銘竿) 高級なよいサオ。
モジリ 魚によって起こる海面上の波紋。
モチコム(持ち込む) 魚の引きが強くサオを立てられない状態。
ヤビキ(矢引き)※加筆 矢を引いた腕の形から、体の中心から指先までの長さを示す。およそ80cm。ヒトヒロの半分の意味で使われることが多い。
ヨセエ(寄せ餌) コマセと同じ。
ヨリ(寄り) 魚が一個所に集まること。
