棒ウキを作っている”本当のメーカー”はどこか?

似すぎているウキが、市場にあふれている

下膨れ形状の棒ウキが流行するなかで、気になることが一つあります。それは、遠矢ウキとそっくりなウキ(コピー商品・類似商品)が数多く出回っているということです。

ウキは本来、色も形も自由に作れるもの。色にしても、レモン以外にオレンジ・赤・イエローなど、いくらでも選択肢があります。それなのに、わざわざ遠矢ウキと同じ形、同じ配色パターンにする。「何もそこまで似せなくとも…」と、つい首をかしげたくなるものも少なくありません。

実は、こうした模倣は今に始まったことではありません。昭和51年スポーツニッポンで「南房を一変させた奇跡のウキ」と紹介されて以降、遠矢ウキが生産の追いつかないほどの人気になると、そのすき間を埋めるように、続々と類似品が出回り始めました。けれども、そのほとんどは、結局いつのまにか姿を消していったのです。昭和56年の広告にすでに「類似品、模造品に注意下さい」の一文が添えられていたのも、こうした時代背景があってのことでした。

それでも、今また新たな類似品が市場をにぎわせています。では、そうした類似品を出しているメーカーは、実際にはどれだけ下膨れ形状のウキを世に出しているのでしょうか。気になったので、各社のラインナップを実際に数えて調べてみました。

調査結果・下膨れ棒ウキの販売状況

(※ウキの色違い・浮力違いも、それぞれ1種として集計しています)

● 大手A社(2022年 カタログ)

  • ウキ総数:1,105種(円錐ウキ894種/棒ウキ199種/その他12種)
  • 棒ウキ199種のうち、自立するものは55種
  • そのうち下膨れ形状は29種、下膨れかつ自立するものは25種
  • → 下膨れ棒ウキは全ウキの2.6%。棒ウキの中でも14.6%にとどまります。

● B社(2023年 ホームページ)

  • ウキ総数:249種(円錐ウキ191種/棒ウキ58種)
  • 棒ウキ58種のうち、下膨れ形状は58種
  • → 下膨れ棒ウキは全ウキの23.2%

遠矢ウキに非常によく似た(そっくりな)ウキを販売しているのが、このB社です。それでも、この数字。どちらかと言えば「円錐ウキの会社」と言えるかもしれません。

● 有限会社トオヤ

  • ウキ総数:178種(現在)
  • 遠矢ウキは、オモリを内蔵した円錐ウキは作っていません。丸い形状のウキは、紀州釣り用の環付き玉うき(TDシリーズ)が8種のみです。
  • 残る170種はすべて棒ウキ。そのうち下膨れ形状は158種にのぼります。
  • 下膨れでないウキは、環付き玉うき8種・うわぶくれ形状3種などを合わせても全体でわずか20種。裏を返せば、遠矢ウキの約9割が下膨れ形状ということです。

※円錐ウキ=下部にオモリを仕込んだウキ/環付き玉うき=オモリを入れず、下部に糸を通すための「環」を付けた丸いウキ。釣り業界では、この二つは別物として扱われます。

数字が語る、”本当のメーカー”

並べてみると、違いは一目瞭然です。

メーカー下膨れ棒ウキの種類数
大手A社(2022年)29種
B社(2023年)58種
有限会社トオヤ(現在)158種

大手メーカーですら、下膨れ(非自立を含む)の棒ウキは29種。遠矢ウキそっくりの類似品を出している会社でも、58種しかありません。

対して遠矢ウキは、下膨れ形状の棒ウキだけで158種類。ウキ総数178種のうち、約9割が下膨れ棒ウキで占められています。

似せることはできても、この数はそう簡単には並びません。下膨れ形状の棒ウキを”本気で”作り込んでいるメーカーがどこなのか。数字は、はっきりとその答えを示しています。

そして、”歴史”についても同じことが言えます。遠矢ウキよりも古い歴史があると謳うメーカーもありますが、その年数には、業界の違う玩具製作会社だった時代が含まれていることがあります。机の上の発案ではなく、年間250日もの釣行を自ら重ねてウキを生み出し、いまも製造し続けている。そんなウキづくりを半世紀以上つづけてきた会社は、「遠矢ウキ」だけなのです。

それにしても、なぜ下膨れは少数派なのか?

ここで一つ、疑問が残ります。これだけ流行し、元祖もはっきりしているのに、なぜ下膨れ形状の棒ウキは、市場全体では今なお割合的に少ないのでしょうか。

その理由については、また次回、じっくりご説明したいと思います。


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