私の釣行記の中では最も古い記事のうちの1つです。当時は京都に住んでおりましたから、和歌山へも足げく通ったものです。懐かしい紀ノ川リバーチヌ!編集後記もぜひお楽しみください。
<2009年1月11日釣行記事>
川の中でもクロダイ!?
冬になって舞鶴(京都)も雪の日が多くなり、そろそろクロダイもシーズンオフかと思われたある日のことでした。何気なくネットを検索してびっくり!!釣具屋さんの情報ネットで、和歌山県紀ノ川で良型のチヌが釣れているとのこと!和歌山といえば海のイメージが強く、この寒い冬の時期に川の中でクロダイが釣れるとは…。
早速、その釣具屋さんを訪ねて行きました。店に入り、恐る恐るネットを見てきたのだと尋ねると、店長さんがとても親切に釣り場の情報や餌など細かなことを教えてくれました。普通はいきなりやって来て、どこの誰かわからないような釣り人にこまかな情報は教えてくれませんから、とても嬉しかったです。早速、教えてもらった場所を視察することから始めました。
紀ノ川ではシーズンになると、川のいたるところで釣れているようで、六十谷の堰にまでクロダイが確認されているとのこと。それがほんとうだとすると、冬の寒い時期にかなり上流域までクロダイが海から上がっているということになります。少し竿を出して状況を見たいと思い、有名な紀ノ川南側石積堤に行きました。釣り人に声をかけるともう帰るからここにどうぞと座を譲ってくれて釣り方のコツも教えてくれました。和歌山の人って親切だなぁ…。
水深を測る約2メートル位しかありません。葦が岸に生えているいたって普通の河川の風景。そんな場所でクロダイ釣りするのがとても不思議な気分です。釣りをしている隣で、バスアングラーがルアーを投げていました…。
そんなこんなで、とりあえず様子見で竿を出すことにしました。
初日は紀ノ川でフグ、アジ、シーバスが釣れました。フグは漢字で河豚と書くから河にいてもおかしくないのかな(?)などと考えましたが、川でアジが釣れるっていったいどういうこと…!?淡水の魚と海水の魚が共存している不思議な川に魅了され、しばらく京都から和歌山に通おうと決めました。地元の人々は皆気さくで、すぐに顔見知りもできました。
瓢箪(ひょうたん)からコマ!?
人気の有名ポイントはいつ行っても人が多いのと、駐車場から釣り座まで相当な距離を歩かねばならないのでとても大変です。自分が釣りやすい場所がないかと探しつつ、先日釣具屋さんで教えてもらった場所で今年一番の初釣りをすることとなりました。しかし、そこは膝ぐらいの水深しかなく、深い場所でも1メートル程度です。まわりを見渡しても釣り人がだれ一人いません。
ぽつんと釣りをしていると、散歩をしている人も「ここはハゼしか釣れないよ」とか、「クロダイ釣るなら海釣り公園行ったほうがいいんじゃないか」とチケットくれたりしました。
(実はあとから気づいたのですが、教えてもらった場所を自分が間違えていました。当然、そんな場所に釣り人がいるはずないですよね!?)
折しも、この冬最大の寒波到来。西日本各地で大雪が降り、和歌山でも雪にあられに雷雨がすさまじかった日でした。こんな日に釣りに来るんじゃなかったな~と少し後悔…。
駐車場で待機していたたのですが、雪が止んだ時間帯に、思い切って竿を出してみみました。すると….ガツンとでかいアタリ!!手ごたえ十分!これは大きいぞと期待したところ…バレてしまいました。しかし、このバラシによってそこにクロダイがいると確信したのです。ここは、教えていただいた場所ではなかったですが….もしや、瓢箪(ひょうたん)からコマなのかも!?
大寒波の中、ついにトシナシ!!
翌日も大寒波。雪がうっすらと積もる朝。夜明け前の空には大きな満月。
大物の手ごたえを感じていたので、朝から慎重に準備。いつも使っている遠矢うき300Sに遠矢うきZF120用のトップをつけて全体を短くし、浅瀬に対応できるようにしました。コマセは日本海とMPにオキアミを混ぜる配合餌。現地の人はムギを多めに入れるようですが、バラバラと粉っぽくなってしまうような気がするので、流れに対抗できるよう粘りと重さのあるものを使いました。(コマセ配合は遠矢流黒鯛釣り用と同じものを使用しました。)
そして開始後まもなく、いきなりウキが消しこみ46センチのクロダイが上がって来ました!やっぱりクロダイはいました〜〜!!
その30分後、またもやアタリがありましたが、今度はバラしてしまいました…。バラしてからしばらくすると、再びじわりを押さえ込むアタリが!!アワセを入れると、かかりました!ゴンッゴンッとクロダイ特有の強い引きと首ふりが竿に伝わります!竿の曲がりが大きく、これは期待できそう!!絶対に逃さないぞと、慎重に引き寄せてタモ入れに成功!
やったぁ~!傷のないとても美しいクロダイ、まぎれもないトシナシでした!
すぐに計測すると52センチ!!これは何度も計測したので間違いないのですが、そのあとに釣具屋さんに運び込んで計測してみると、なんと50.5センチ…。あれれ?生きているのに縮んでいる?あとから仲間に聞くと、生きていても縮むことがあるそうです。これもまた勉強になりました。
午前中に魚の計測を済ませ、お昼御飯を食べて再び川に戻ってくるとまた釣れそうないい感じの流れ。再び、道具を取り出して釣りを開始すると、夕マヅメにじわりとしたアタリがあり、今度は41.5センチのクロダイをゲット!引き続き35センチも追加し、その日は合計で4匹の釣果になりました。
こうして、この冬一番の大寒波となった日は私にとっても記念すべき日となりました。釣りを始めて8ヶ月目にして3匹目のトシナシ!!ありがたいことです!
南紀、心温まる冬の楽園
幸運にもトシナシを釣り上げた翌日、再び紀ノ川周辺で散策しながら情報収集とばかり釣り人に声かけると、すでに自分のことを知られていて驚きました!どうやら「トシナシを釣った女性がいる」という情報は一晩のうちに紀ノ川周辺に流れたようです。
それからはいろんな場所で声をかけていただくことが多くなりました。通行人も私の顔を覚えてくれ、以前にも増して情報をくれるようになりました。
魚も豊かで人も温かい。そんな素敵な南紀で冬の楽園を見つけたような気がします。きれいな釣り場だから、ゴミや駐車場の問題でまわりに迷惑かけることなく、釣り人の皆様でこの素敵な楽園を守っていきたいですね。
…ところで、釣り上げたトシナシはどうしたかって?計測後はすぐにリリースしましたよ。トシナシたちはゆっくりと川へ帰っていきました。またいつか、ロクマルになって帰ってきてね。次の目標はトシナシを今年は何枚釣れるかな〜と、心は遠く果てしない釣りの旅路へ….いえいえ、まだ初心者。そのの入口….に立ったにすぎません。諸先輩の皆様方、これからもどうぞご指導よろしくお願いいたします。
本文はここまでです。次は、編集後記あとがきにて当時を振り返ります。
編集後記
よくぞこんな古い記事が出てきたと自分でも感心しましたが、釣った当時の記録はたいへん懐かしいものです。釣れた写真は残しておられる方も多いと思いますが、同時に釣行記録なども残しておくと、当時の気持ちや状況が鮮やかに蘇るので、とっても良いですね。お勧めします。
それはさておき、紀ノ川の黒鯛は丸々と太っていて、40cmクラスのものでもよく引きました。写真をみていただくと、川チヌ(リバーチヌ)は筋肉隆々のマッスルチヌさんばかりです。
現地はカルガモや鴨も泳いでいて、撒き餌を撒くと、水中に飛び込んで餌を取ったり、バッカンの中に集団で突っ込んで餌を食い荒らしたりと、やっかいな「餌鳥(えさとり)」でした。(読んで字の如く!)
川の上流でふぐやアジもいたことには驚きました。改めて、黒鯛釣りって面白いと感心した次第です。
ところで、当時、紀ノ川で黒鯛が釣れると遠矢国利名人にご報告しましたところ、「それ、ありえない〜」って最初は信じてくれませんでした。それに、当時この記事を投稿しようとした雑誌社にも信じてもらえませんでした。そりゃそうですよね。水深を測ると手前だと30〜60cm、超遠投-小が川床に刺さってしまって、動かないような釣り場でしたからね〜(笑)。
そしてこの釣行記の翌年2010年に、この紀ノ川黒鯛をきっかけとして生まれたウキが「遠矢ダイレクトポイントDP300-10」シリーズです。この川幅が広く、どうしても流心を狙いたかったので大遠投が必要でした。300sシリーズを使っていて大遠投はできたのですが、もっと軽い仕掛けが欲しかったのです。そこで、遠矢国利名人がこれを開発してくれたといういきさつです。
2010年当時、直売店として出店した遠矢うきTohyaDirect楽天市場店でこのウキが発表されました。約10年間もの間、楽天市場釣具部門やウキ部門で1位を独占したほど、話題沸騰となりました。
こうして誕生した「遠矢ダイレクトポイントDP300-10」は、今ではこういった浅場を狙うときの強力なアイテムになっています。
当時、親切にしていただいた釣具店様や地元の皆様、ありがとうございました。機会があればまた和歌山を訪れたいと思います。
長文お読みいただきまして、ありがとうございました。それでは、また次回の釣行記をお楽しみに。